韓国ドラマ『悪の心を読む者たち』の判定は「一部実話」です。韓国初のプロファイラーであるクォン・イルヨンの回想録が原作であり、作中の事件も実在の凶悪事件をモチーフとしています。
この記事では、元ネタとなった実話の概要と作品との違いを比較表で検証し、実在人物のその後や視聴方法も紹介します。
悪の心を読む者たちは実話?結論
- 判定
- 一部実話
- 根拠ランク
- A(公式に明記)
- 元ネタの種類
- 手記
- 脚色度
- 中
- 確認日
- 2026年4月
『悪の心を読む者たち』は、韓国初の犯罪心理プロファイラーとして知られるクォン・イルヨンとコ・ナムが共著した同名の回想録を原作としたドラマです。作中の事件は実在の連続殺人事件をモチーフとしていますが、主人公の名前や人物関係、事件の時系列にはドラマとしての大幅な再構成が加えられており、判定は「一部実話」です。
本記事は公開情報・一次発言・原作・報道資料を優先し、俗説は区別して記載しています。事件の詳細は作品との差分説明に必要な最小限にとどめています。
なぜそう判定できるのか【根拠ランクA】
本作が実話に基づく作品であることは公式情報で明確に確認でき、根拠ランクはA(公式に明記)と判定しています。
SBSおよび各配信プラットフォームの作品紹介ページでは、本作がクォン・イルヨンの回想録が原作であると明記されています。ドラマの公式サイトでも「韓国初のプロファイラーの実録をもとにしたドラマ」として紹介されています。
原作書籍『悪の心を読む者たち』は、クォン・イルヨンとコ・ナムの共著として2018年に韓国で出版されました。クォン・イルヨン本人が捜査の現場で経験したエピソードを中心に構成されたノンフィクション作品であり、出版後にベストセラーとなっています。
韓国の複数の報道や作品紹介記事でも、本作が「韓国初のプロファイラーの実録をドラマ化した作品」として一貫して紹介されています。公式・原作・報道の三方向から実話ベースであることが裏付けられているため、根拠の確度は高いと判断できます。
さらに、主演のキム・ナムギルはクォン・イルヨン本人から直接話を聞いて役作りを行ったと複数のインタビューで語っています。制作段階からクォン・イルヨンが監修に協力しており、実話に基づく制作過程が公に確認できます。
元ネタになった実話とモデル人物
本作の元ネタは、クォン・イルヨンの実体験です。クォン・イルヨンは韓国初のプロファイラーとして知られ、1000人以上の犯罪者をプロファイリングしてきた人物です。
1990年代末から2000年代初頭にかけて、韓国では複数の凶悪事件が社会を震撼させました。当時の韓国警察にはプロファイリングという捜査手法がほとんど浸透しておらず、クォン・イルヨンは科学的な犯罪心理分析を捜査に導入する先駆者として活動しました。
ドラマでは主人公の名前がソン・ハヨン(キム・ナムギル)に変更されていますが、韓国初のプロファイラーとして孤軍奮闘しながら凶悪犯の心理に向き合うという物語の骨格は、クォン・イルヨンの経験がベースです。捜査チームの上司であるクク・ヨンス(チン・ソンギュ)をはじめとする周囲の人物は、複数の実在人物を複合して再構成した架空のキャラクターとして描かれています。
なお、作中に登場する事件は実在の連続殺人事件をモチーフとしています。ただし、本記事は「この作品は実話か?」を検証する記事であり、個別の事件の詳細については作品との差分を説明するために必要な最小限にとどめます。
作品と実話の違い【比較表】
原作の実体験と比較すると、脚色度は「中」と判定しています。事件の大枠は実話に基づきつつも、人物設定やドラマ構成には再構成が加えられています。
| 項目 | 実話(クォン・イルヨンの実体験) | 作品(悪の心を読む者たち) |
|---|---|---|
| 主人公の名前 | クォン・イルヨン本人 | ソン・ハヨン(架空の名前に変更) |
| 主人公の立場 | 犯罪心理分析官として複数事件を担当 | 複数の経験が一人の物語に集約 |
| 事件の時系列 | 長期間にわたり複数事件が並行して進行 | ドラマ構成に合わせた順序で再構成 |
| 組織内の対立 | 導入初期の摩擦はあったが記録により差がある | 上司や同僚との対立を強調しドラマ性を強化 |
| 登場人物 | 実在の捜査関係者が多数 | 架空の名前に置き換え、複合キャラクターも存在 |
| 事件の描写 | 原作では捜査過程と心理分析が中心 | 犯人との直接対峙シーンを強調 |
本当の部分
プロファイリング導入の経緯や、捜査現場での試行錯誤は実話に基づいています。当時の韓国警察が科学捜査に懐疑的だった状況や、プロファイラーが組織内で理解を得るまでの苦労は、クォン・イルヨンが実際に経験したことです。
また、作中で描かれる事件のモチーフとなった凶悪事件は実在のものです。事件の大まかな時代背景や、韓国社会に与えた衝撃の大きさについては、史実に沿って描かれています。プロファイリングという手法が捜査の転換点となったという大枠も事実です。
脚色の部分
最も大きな脚色は、主人公の人物像の再構成です。ドラマのソン・ハヨンは、クォン・イルヨンの経験を軸にしつつも、複数のプロファイラーや捜査員の体験を一人に集約した複合的なキャラクターとして描かれています。名前だけでなく、性格描写や私生活の設定にもドラマ独自の創作が含まれています。
事件の時系列も大幅に再構成されています。実際には長期間にわたって別々に進行した複数の捜査が、ドラマでは連続ドラマの構成に合わせて再配置されています。組織内の対立や人間関係の描写もドラマ性を高めるために強調されており、上司との衝突や同僚との絆の深まりは、実際の経緯よりも劇的に描かれています。
また、犯人との対峙シーンはドラマにおいて最も緊張感のある場面として演出されていますが、実際の取り調べや面談の様子とは異なる部分があります。原作では捜査過程と心理分析の思考過程が丁寧に描かれているのに対し、ドラマでは視覚的なサスペンス要素が強化されています。
実話の結末と実在人物のその後
本作のモデルであるクォン・イルヨンは、警察退職後も犯罪心理の専門家として活動を続けています。
クォン・イルヨンは韓国の大学で犯罪心理学の教壇に立つほか、執筆活動や講演を通じて犯罪心理分析の知識を広く発信しています。2018年に出版した回想録『悪の心を読む者たち』がベストセラーとなり、本ドラマの原作に採用されました。
2026年1月には日本でも著書『死体でもいいから、そばにいてほしい 悪と寂しさの心理学』が出版され、犯罪者の心理構造を一般読者にも分かりやすく紹介しています。クォン・イルヨンは現在も公開情報の範囲で確認できる限り、犯罪心理分野の解説や講演活動を精力的に行っています。
ドラマの制作過程においても、クォン・イルヨンは監修として現場に協力し、作品の完成度向上に寄与しました。韓国では本作の放映を通じて、初期プロファイラーの仕事と当時の凶悪事件捜査の転換点が広く再注目されるきっかけとなりました。
2022年のSBS演技大賞では、主演のキム・ナムギルが大賞を受賞し、チン・ソンギュが最優秀演技賞を獲得するなど、作品としても高い評価を受けています。
なぜ「実話」と言われるのか
公式に実話ベースと明言されていることに加え、実在の事件がそのまま描かれているかのようなリアリティが、「完全な実話」という認識を広めています。
第一に、作品の公式情報でクォン・イルヨンの回想録が原作であると明記されていることが最大の理由です。視聴者は「原作が実話のノンフィクション」という情報から、ドラマの描写もすべて事実であると受け取りやすくなっています。
第二に、作中で描かれる事件が実在の事件と時代背景や社会的インパクトにおいて近いため、人物関係や会議の描写まで事実であるかのように感じられる点があります。実際には人物名は変更され、ドラマとしての再構成が加えられていますが、そうした脚色部分は視聴者には判別しにくい構造になっています。
「すべてが実話」は正確ではないという点は押さえておく必要があります。クォン・イルヨンの実体験がベースではあるものの、登場人物・事件の時系列・組織内の人間関係にはドラマとしての脚色が加えられています。ネット上では「全部実話」「事件をそのまま再現」といった情報も見られますが、正確には「一部実話」であり、ノンフィクションとフィクションが混在した作品です。
第三に、キム・ナムギルの緊迫感ある演技やドラマ全体の完成度の高さも影響しています。2022年のSBS演技大賞でキム・ナムギルが大賞を受賞したことでさらに注目度が上がり、作品の評価とともに「実話」という情報も拡散されました。実話に基づくリアリティとドラマとしての脚色を正しく区別することが、本作をより深く楽しむためのポイントです。
この作品を見るには【配信情報】
『悪の心を読む者たち』は複数の動画配信サービスで視聴可能です。
『悪の心を読む者たち』の配信状況(2026年4月確認)
- Amazon Prime Video:レンタル配信あり
- U-NEXT:見放題配信中
- DMM TV:見放題配信中
- Netflix:要確認
※配信状況は変動します。最新情報は各サービス公式サイトでご確認ください。
元ネタをもっと知りたい人へ【関連書籍】
原作者クォン・イルヨンによる犯罪心理に関する書籍が出版されています。
- 『悪の心を読む者たち』(クォン・イルヨン、コ・ナム)― ドラマの原作となった回想録。韓国初のプロファイラーが凶悪犯罪者と対峙した実体験をもとに、犯罪心理分析の導入過程を描いたノンフィクションです。※韓国語版のみ。
- 『死体でもいいから、そばにいてほしい 悪と寂しさの心理学』(クォン・イルヨン)― 2026年1月に日本語版が出版。凶悪犯罪者の心理構造を一般読者にも分かりやすく解説し、「悪」と「孤独」の関係に迫る一冊です。

