縁切り榎は実話?板橋区の史跡・縁切榎が元ネタ|現在も史跡として現存

WOWOWドラマ『東京二十三区女』第5話「板橋区の女」の判定は「実在モデルあり」です。

板橋区に実在する史跡「縁切榎」の歴史や絵馬信仰を下敷きにしたホラーミステリーですが、ドラマで描かれる怪異や登場人物は全て創作です。

この記事では、元ネタとなった縁切榎の歴史と作品との違いを比較表で検証し、史跡の現在や関連書籍についても紹介します。

東京二十三区女「板橋区の女」は実話?結論

判定
実在モデルあり
根拠ランク
B(一次発言)
元ネタの種類
史実
脚色度
確認日
2026年4月

『東京二十三区女』第5話「板橋区の女」は、板橋区本町に実在の史跡が元ネタになった作品です。原作・監督の長江俊和氏が現地を取材し、縁切榎にまつわる土地の歴史や絵馬の風習を作品に反映させたと語っています。ただし、登場人物や怪異の展開は全て創作であり、特定の実話事件を再現したものではありません。

本記事は公式情報・一次発言・公開資料を優先し、俗説は区別して記載しています。

なぜそう判定できるのか【根拠ランクB】

ダ・ヴィンチWebのインタビューで、原作者・監督の長江俊和氏は板橋区の「縁切榎」を取材で訪れた際の印象を詳しく語っています。商店街の一角に祀られた祠に「夫と別れたい」といった個人的な願いが書かれた絵馬が並んでいるのを目撃し、「商店街の一角に負のオーラがあふれていてとてもインパクトがありました」と述べています。

また、同インタビューでは東京23区の実在スポットや土地の記憶を下敷きにしているというドラマ全体の制作方針が明かされています。各話の舞台となる土地の歴史や伝承を丹念に調べ上げたうえで、そこにフィクションとしての怪異を重ねるという手法が語られました。縁切榎のエピソードもこの方針に沿って、実在の場所と信仰を着想元にしていることがわかります。

WOWOWの公式ページでも、本作は東京23区の実在する場所に隠された「禁断の秘密」をテーマとするホラーミステリーと紹介されています。「縁切榎」という史跡名がそのまま作中に登場する点からも、実在の場所を意識的にモデルとしていることが確認できます。

なお、ドラマの原作である長江俊和氏の小説『東京二十三区女』(幻冬舎、2016年刊)でも、板橋区編にあたる第5話は縁切榎の伝承を下敷きにしています。小説からドラマへの映像化を通じて一貫して実在の史跡が物語の核に据えられており、着想元が明確に辿れる作品です。

これらの一次発言や公式情報が確認できるため、根拠ランクはB(一次発言)としています。ただし、公式が「実話に基づく」と明記しているわけではなく、あくまで実在の場所と伝承を着想元とした創作です。そのため判定は「実話」ではなく「実在モデルあり」としています。

元ネタになった実話とモデル人物

本作の元ネタは、板橋区本町の旧中山道沿い(現・仲宿商店街内)に実在する史跡「縁切榎(えんきりえのき)」です。

江戸時代から悪縁切りの信仰で知られるこの榎は、かつて板橋宿の中宿付近に立っていた古木に由来します。旗本・近藤登之助の抱屋敷の垣根の際に榎と槻の古木があり、いつしかこの榎の下を嫁入り行列が通ると必ず不縁になるという噂が広まりました。この言い伝えが定着し、縁切榎の信仰が生まれたとされています。

やがて、男女の悪縁を切りたいときに榎の樹皮を削ぎ取って煎じ、ひそかに飲ませると願いが叶うという信仰が庶民の間に広く定着しました。断酒の願掛けにも効験があるとされ、多くの人々がこの榎を訪れたと伝わっています。

有名な逸話として、文久元年(1861年)の和宮降嫁の際、縁切榎の前を通ることを避けるために迂回路がつくられたという記録があります。板橋宿中宿の名主・飯田侃家の古文書にその記述が残されており、皇女の婚礼行列ですら避けて通るほど、縁切りの信仰は広く恐れられていました。

ドラマでは、薫(中山美穂)が夫・英司(小木茂光)の不倫を疑い、夫が縁切榎を訪れて暗号のような文字が書かれた不穏な絵馬を残す姿を目撃するところから物語が動き出します。実は薫にとっても縁切榎は因縁のある場所であり、そこから怪異が連鎖していく展開となります。

なお、薫・英司をはじめとする登場人物は全て創作であり、特定の実在人物をモデルとしたものではありません。ドラマに登場する怪異や超常現象も長江俊和氏のオリジナルストーリーです。

作品と実話の違い【比較表】

実在の史跡をモチーフとしつつも、ドラマには大幅な脚色が加えられています。

項目 実話(縁切榎の史実) 作品(板橋区の女)
元ネタの性質 悪縁を断つ信仰で知られる実在の史跡 夫の不倫や怨念が交錯する怪談の舞台として使用
登場人物 特定の事件当事者は公的資料で確認されない 薫・英司ら全て創作された人物
怪異描写 公開資料は史跡の由来や信仰を伝えるのみ 呪い・失踪・怨霊のような超常現象を前面に描写
絵馬の扱い 悪縁切り・良縁祈願の絵馬が実際に奉納されている 暗号のような文字が書かれた不穏な絵馬として描写
信仰の性格 悪縁切り・断酒・難病平癒など庶民の祈願 怨念や呪いと結びつけた恐怖の対象として描写
時代設定 江戸時代から現在まで続く信仰 現代を舞台にした怪談ドラマ

本当の部分

縁切榎という史跡名がそのまま登場し、板橋区の仲宿商店街に実在する場所として描かれている点は史実に沿っています。悪縁切りの信仰を持つ場所であること、絵馬が奉納されていることも現実の縁切榎と共通する要素です。

長江俊和氏が取材で目撃したという「個人的な願いが書かれた絵馬が並ぶ光景」が、ドラマの重要なモチーフとして取り入れられています。夫の不倫を疑う薫が絵馬を通じて真相に近づいていくという展開は、実在する絵馬信仰の雰囲気を巧みに利用しています。

脚色の部分

ドラマで描かれる怪異や超常現象は全て創作です。縁切榎に関する公的資料や歴史文書は、あくまで江戸時代から続く民間信仰としてその由来を伝えているものであり、実際に呪いや怨霊といった超常的な事象を報告しているわけではありません。

登場人物の薫と夫・英司の不倫問題、暗号的な絵馬をめぐる謎、怪談的な結末の展開は全て長江俊和氏のオリジナルストーリーです。特定の事件や実在の人間関係を再現した作品ではないという点は重要です。実際の縁切榎には怨霊や呪いにまつわる公的記録は存在しておらず、ドラマの恐怖演出はあくまでフィクションとして楽しむべきものです。

実話の結末と実在人物のその後

本作の元ネタとなった縁切榎は、現在も史跡として現存しています。

昭和61年に板橋区の記念物に登録されており、仲宿商店街の一角で今も参拝することができます。現在の榎は3代目とされ、初代・2代目の榎は枯れてしまいましたが、信仰は途絶えることなく受け継がれてきました。祠と絵馬掛けが整備され、参拝しやすい環境が保たれています。

近代以降は悪縁切りだけでなく、難病との縁切りや良縁祈願の場としても信仰が広がりました。現在でも多くの参拝者が絵馬を奉納しており、板橋区の観光名所・パワースポットの一つとして広く知られています。板橋区観光協会の公式サイトでも紹介されている史跡です。最寄り駅は都営三田線の板橋本町駅で、仲宿商店街を歩いていくとたどり着くことができます。

なお、本作にはドラマ上の創作人物のみが登場しており、実在の事件当事者は存在しません。そのため「実在人物のその後」という観点での情報はありませんが、元ネタとなった場所そのものが江戸時代から現在まで存続しているという点が本作の特徴です。

なぜ「実話」と言われるのか

本作が「実話」と誤解されやすい最大の要因は、実在の地名や風習がそのままドラマに使われている点です。

「縁切榎」という実在の史跡名がドラマのタイトルや物語の核に据えられ、板橋区の仲宿商店街という具体的な場所も作中に反映されています。実際に現地を訪れることができる場所が舞台になっているため、視聴者が「本当にあった話では」と感じやすい構造になっています。

また、絵馬に個人的な願いを書いて奉納するという実際の風習もドラマの重要な要素として取り入れられています。現実の縁切榎でも縁切り祈願の絵馬が多数奉納されており、ドラマで描かれる不穏な絵馬の描写が現実と虚構の境界を曖昧にしている面があります。

さらに、『東京二十三区女』というシリーズ全体が「東京23区の実在スポットに隠された秘密」をテーマとしていることも大きな要因です。長江俊和氏自身がインタビューで各話の土地を実際に取材し、その歴史を下敷きにしていると明言しているため、視聴者が各エピソードの怪談を実話と受け取りやすくなっています。

ネット上では「縁切榎の呪いは本当」「実際に怖い目に遭った人がいる」といった体験談が見られますが、これらは民間信仰にまつわる都市伝説や個人の体験談であり、ドラマのストーリーが実話であることの根拠にはなりません。縁切榎は本来、悪縁を断ち良縁を結ぶための祈願の場であり、恐怖の対象として語られるのはドラマの影響が大きいと考えられます。ドラマはあくまで実在の場所と伝承を着想元としたフィクション作品です。

この作品を見るには【配信情報】

『東京二十三区女』の配信状況(2026年4月確認)

  • WOWOWオンデマンド:配信あり(WOWOW加入者向け)
  • Amazon Prime Video:DVD-BOX販売あり
  • U-NEXT:要確認
  • DMM TV:要確認
  • Netflix:要確認

※配信状況は変動します。最新情報は各サービス公式サイトでご確認ください。

元ネタをもっと知りたい人へ【関連書籍】

  • 『東京二十三区女』(長江俊和/幻冬舎文庫)― ドラマの原作小説。板橋区の縁切榎を題材にした第5話をはじめ、東京23区の実在する場所を舞台にしたホラーミステリー全6編が収録されています。長江俊和氏が各区の土地を実際に取材して書き上げた作品です。

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