映画『コンジアム』は、韓国に実在した昆池岩精神病院を元ネタとした「実在モデルあり」の作品です。
2012年にCNNが選んだ「世界7大禁断の地」に含まれた廃病院が舞台となっており、映画の設定と実際の病院の歴史には大きな違いがあります。
この記事では、元ネタとなった昆池岩精神病院の実態と作品との違いを比較表で検証し、病院のその後についても紹介します。
コンジアムは実話?結論
- 判定
- 実在モデルあり
- 根拠ランク
- C(原作・記録)
- 元ネタの種類
- 場所
- 脚色度
- 高
- 確認日
- 2026年4月
映画『コンジアム』の舞台となった昆池岩精神病院は、京畿道広州市に実在した精神科医療施設です。ただし映画で描かれる「患者42名の集団自殺」「院長の失踪」といった設定はフィクションであり、実際の閉鎖理由は院長の死去後に後継者がいなかったことによる廃業です。実在の場所を着想元としつつストーリーは完全な創作のため、判定は「実在モデルあり」です。
本記事は公式情報・一次発言・原作・報道資料を優先し、俗説は区別して記載しています。
なぜそう判定できるのか【根拠ランクC】
映画の公式サイトおよび配給資料において、本作が実在の昆池岩精神病院をモチーフとした作品であることが明示されており、根拠ランクはC(原作・記録)としています。
映画公式サイトでは、CNNが選んだ「世界7大禁断の地」に含まれる昆池岩精神病院を舞台とする作品であると紹介されています。CNNは2012年に「7 freakiest places on the planet」というリストを発表しており、その中に昆池岩精神病院が実際に含まれています。この事実は映画の宣伝素材にも使用されました。
チョン・ボムシク監督は、『ホラー・ストーリーズ』シリーズなどで知られるホラー映画の専門家です。実在の心霊スポットを題材にしたPOV(主観映像)ホラーとして本作を企画しており、制作関連の報道やインタビューからも、実在の廃病院を着想元にした作品であることが確認できます。
一方で、映画公式サイトや配給資料に「実話に基づく(Based on a true story)」という表記は使用されていません。あくまで実在の場所を舞台設定に借りた作品であり、ストーリー自体が実話であるとは公式に主張されていない点は重要です。
映画内で語られる病院の歴史は実際の沿革とは大きく異なります。作中では「1961年開業」「1979年に患者42名が集団自殺」「院長が失踪して閉鎖」と説明されますが、これらは映画のために創作された設定です。実在の場所を着想元としつつもストーリーは完全な創作であることから、判定は「実在モデルあり」が適切です。
元ネタになった実話とモデル人物
本作の元ネタは、京畿道広州市に実在した昆池岩精神病院です。
正式名称は「昆池岩南営神経精神病院」で、1990年代前半に開業し1996年に閉鎖されました。閉鎖の理由は、院長の死去後に経営を引き継ぐ者がいなかったためです。映画で描かれるような超常的な出来事や集団自殺によるものではありません。
廃業後の建物はそのまま放置され、韓国有数の心霊スポットとして知られるようになりました。「夜中に患者の叫び声が聞こえる」「院長自身が精神を病んでしまった」「理由もなく患者が次々と死亡した」といった噂がインターネットを中心に広まり、多くの肝試し訪問者やYouTuberが訪れる場所となりました。
近隣住民は20年以上にわたり不法侵入者に悩まされていたと報じられています。夜間に肝試しに訪れる若者たちの騒音や迷惑行為が深刻な問題となっていました。
病院は3階建ての建物で、かつては数百人の患者を収容していたとされています。廃業後は窓ガラスが割れ、壁には落書きが残り、医療器具が散乱したまま放置されていました。この荒廃した外観そのものが恐怖の象徴となり、韓国のホラー文化において重要な存在となりました。
2012年にCNNが「世界7大禁断の地(7 freakiest places on the planet)」の一つとして昆池岩精神病院を取り上げたことで、国際的にも知名度が上昇しました。この報道が映画制作のきっかけの一つになったと考えられます。
なお、映画の登場人物に特定の実在モデルは確認されていません。ホラー配信チームのメンバーであるハジュン、シャーロット、ジヒョンらはすべてフィクションのキャラクターです。
作品と実話の違い【比較表】
映画と実際の昆池岩精神病院には、歴史・設定・結末の面で大きな違いがあります。
| 項目 | 実話(昆池岩精神病院) | 作品(コンジアム) |
|---|---|---|
| 開業年 | 1990年代前半 | 1961年と設定 |
| 閉鎖理由 | 院長死去後に後継者不在で廃業(1996年) | 患者42名の集団自殺と院長の失踪(1979年) |
| 探索者 | 肝試し訪問者やYouTuberが個別に訪問 | ホラー配信チーム「ホラータイムズ」が生配信で組織的に探索 |
| 402号室 | 特別な意味を持つ記録は確認されていない | 映画の恐怖の中核となる「開けてはならない部屋」 |
| 超常現象 | 噂やネット上の体験談のみ(公的記録なし) | メンバーが次々と超常現象に遭遇し命を落とす |
| 撮影場所 | 京畿道広州市の実在施設 | 釜山の国立海事高等学校をセットとして使用 |
本当の部分
廃墟として韓国有数の心霊スポットになっていたという大前提は事実に基づいています。建物が長年放置され、不気味な雰囲気を醸し出していたことは、多くの訪問者による写真や動画で確認できます。
また、多くのYouTuberや肝試しグループが実際に病院を訪れていた点は、映画の設定に反映されています。映画のホラー配信クルーが廃病院を探索するという筋書きは、実際に行われていた肝試し動画の文化を下敷きにしたものです。CNNによる「世界7大禁断の地」の選出も事実であり、映画内でもこの情報が冒頭で提示されています。
脚色の部分
映画で語られる「1961年開業」「1979年に患者42名の集団自殺」「院長の失踪」は、すべてフィクションです。実際には1990年代に開業し1996年に閉鎖されており、集団自殺や院長失踪の公的記録は存在しません。
映画の中核となる「402号室」の恐怖描写も完全な創作です。実際の病院にこの部屋番号が特別な意味を持っていたという情報は確認されていません。また、映画は実際の病院では撮影されていません。韓国政府から撮影許可が下りなかったため、釜山の国立海事高等学校が撮影に使用されました。制作チームは実際の病院の間取りを忠実に再現してセットを組んだと報じられています。
実話の結末と実在人物のその後
昆池岩精神病院は映画公開と同じ2018年に解体されました。
2018年5月に建物は正式に取り壊されました。映画の韓国公開(2018年3月28日)からわずか約2か月後のことです。病院の土地を所有していた元院長の遺族(洪氏兄弟)は、アメリカのメリーランド州とカリフォルニア州にそれぞれ移住しており、長年にわたり土地の売却を希望していました。
映画の大ヒットにより病院への注目がさらに高まったことが、かえって土地売却と建物解体を後押しする結果となりました。跡地には住宅地が建設される計画となっています。買い手は当初、恐怖をテーマにしたテーマパークの建設も検討しましたが、地域住民の意向を考慮して住宅地開発に変更したと報じられています。
映画『コンジアム』自体は韓国で観客動員数267万人を記録し、韓国ホラー映画の歴代興行収入で上位にランクインする大ヒットとなりました。制作費約220万ドル(約25億ウォン)に対して興行収入は約2,060万ドル(約245億ウォン)に達し、投資対効果の高い作品として業界でも注目されました。
日本では2019年3月23日に劇場公開され、韓国ホラーファンを中心に話題を集めました。チョン・ボムシク監督にとっても代表作の一つとなっています。なお、映画の舞台となった昆池岩精神病院は現在すでに存在せず、跡地を訪れても当時の面影を見ることはできません。
なぜ「実話」と言われるのか
映画『コンジアム』が「実話では?」と言われる最大の理由は、舞台が実在の廃病院であることです。
ファウンド・フッテージ形式の撮影手法が、ドキュメンタリーのようなリアリティを生んでいます。出演者が実際にカメラを持って廃墟を探索する映像は、YouTubeの心霊動画に近い臨場感があり、「本当に起きた出来事では」という印象を視聴者に与えています。
また、映画の冒頭で「CNNが選んだ世界7大禁断の地」という実在の情報が提示されることも大きな要因です。この事実を起点にすることで、その後のフィクション部分(集団自殺、院長失踪、402号室の恐怖)まで事実であるかのように受け取られやすい構造になっています。
映画公開後、SNSやネット掲示板では「コンジアムは実話」「本当にあった事件が元ネタ」といった投稿が多く拡散されました。しかしこれらは、実在の場所であることと映画のストーリーが実話であることを混同した俗説です。病院の建物は確かに実在しましたが、映画で描かれる超常現象や事件の設定はすべて創作です。
同じファウンド・フッテージ形式を採用した『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』でも同様の誤解が生じたように、この撮影手法自体が「実話誤認」を誘発しやすいという特徴があります。『コンジアム』の場合は、さらに実在の場所が舞台であるため、誤解がより強固になっている面があります。
この作品を見るには【配信情報】
『コンジアム』は複数サービスで視聴可能です。
『コンジアム』の配信状況(2026年4月確認)
Amazon Prime Video:レンタル・購入
U-NEXT:要確認
DMM TV:要確認
Netflix:要確認
※配信状況は変動します。最新情報は各サービス公式サイトでご確認ください。

