犬鳴村は実話?旧犬鳴トンネルと都市伝説が下敷き|清水崇監督のオリジナル

映画『犬鳴村』の判定は「実在モデルあり」です。福岡県に実在する旧犬鳴トンネルとネット発の「犬鳴村伝説」を下敷きにしたホラー作品です。

ただし映画のストーリーは清水崇監督による完全オリジナルであり、実話をそのまま映画化した作品ではありません。

この記事では、元ネタとなった実在の場所や都市伝説の実態を検証し、作品との違いや関連書籍も紹介します。

犬鳴村は実話?結論

判定
実在モデルあり
根拠ランク
D(有力説だが一次ソース弱)
元ネタの種類
史実
脚色度
確認日
2026年4月

映画『犬鳴村』は、福岡県宮若市と久山町の境にある旧犬鳴トンネルや、インターネット上で広まった「犬鳴村伝説」を着想源としたホラー映画です。実在の地名と都市伝説の雰囲気を活用していますが、物語自体は清水崇監督のオリジナル創作です。実話をそのまま再現した映画ではないため、判定は「実在モデルあり」となります。

本記事は公式情報・一次発言・報道資料を優先し、俗説は区別して記載しています。

なぜそう判定できるのか【根拠ランクD】

実在の場所をモデルにしていることは明らかですが、公式に「実話に基づく」とは明言されていないため、根拠ランクはD(有力説)としています。

清水崇監督はインタビューで「実在の場所の話をもとにしている」と述べています。雑誌『ムー』との対談企画では、オカルト探偵・吉田悠軌とともに犬鳴峠の現地取材について語り、「調べていくうちにイメージが膨らんで映画オリジナルの世界にしていった」と制作過程を明かしています。

プロデューサーの紀伊宗之も「作り物でなく、軽くなく、長く続く日本固有の『何か』を求めて『犬鳴村』にたどり着いた」とコメントしています。東映の配給資料でも福岡県の心霊スポット「旧犬鳴トンネル」を題材にした作品であることが記載されています。

映画の公式サイトや東映の配給資料にも「Based on a true story(実話に基づく)」といった表記は確認されていません。あくまで実在の場所と都市伝説から着想を得たフィクションという位置づけです。

清水崇監督は撮影にあたり、実際の旧犬鳴トンネルでのロケは行っていません。「地元の協力は得られないだろう」と判断し、別のトンネルを犬鳴トンネルのように作り替えて撮影しています。一次発言はあるもののソースが限定的であることから、根拠ランクはDとしています。

元ネタになった実話とモデル人物

本作の元ネタは、福岡県に実在する旧犬鳴トンネルと、ネット上で語られてきた「犬鳴村伝説」です。特定の実在人物をモデルにしたキャラクターは確認されていません。

旧犬鳴トンネルは1949年に福岡県道21号線の一部として開通しました。犬鳴峠は久山町と宮若市の境に位置し、ヘアピンカーブが連続する交通の難所として知られていました。1975年に新犬鳴トンネルが開通すると旧道は通行量が激減し、やがて封鎖されました。

人通りがなくなった旧道周辺では心霊現象の噂が広まり始めました。1988年に旧トンネル付近で刑事事件が発生したことで、「恐怖の場所」としてのイメージが決定的になりました。その後、2000年代にインターネット掲示板を通じて「犬鳴村伝説」が急速に拡散しました。

この伝説では「トンネルの先に法律が通用しない村がある」「入ったら二度と出られない」「この先、日本国憲法は適用されない」という看板があるなどの噂が語られていますが、これらは事実無根の都市伝説です。

実際に「犬鳴谷村」という集落は1691年(元禄4年)から存在し、1889年(明治22年)の町村制施行により合併消滅しています。ごく普通の山間集落であり、伝説のような異常な場所ではありませんでした。清水崇監督は「看板をどういう人が、どういう意図で立てたのかをずっと考え、発想を広げていった」と語っており、都市伝説の断片から映画の世界観を構築したことがわかります。

作品と実話の違い【比較表】

実在の場所と都市伝説の要素を取り入れつつも、映画は大幅な脚色を加えた完全オリジナルのホラー作品です。

項目 実際(旧犬鳴トンネル・犬鳴村伝説) 作品(犬鳴村)
舞台 福岡県宮若市・久山町の境にある旧犬鳴トンネル 心霊スポットとして恐れられるトンネルとその先の村
村の実態 犬鳴谷村は普通の山間集落(1889年に合併消滅) 外界から隔絶され呪いが支配する恐怖の集落
トンネルの状態 1975年に新道開通後閉鎖、現在はコンクリートで封鎖 トンネルを抜けると異界に繋がる
怪奇現象 心霊スポットとしての噂・体験談のみ 呪い・幽霊・「犬女」など超常現象が多数登場
登場人物 特定のモデル人物なし 臨床心理士・森田奏(三吉彩花)ら架空の人物
結末 トンネル封鎖、村はダム建設で水没 ホラー映画としての独自の結末

本当の部分

旧犬鳴トンネルが心霊スポットとして恐れられているという前提は実話です。トンネルが封鎖されていること、周辺で心霊現象の目撃談が多数あること、ネット上で「最凶の心霊スポット」と呼ばれていることは事実です。

また、トンネルの先にかつて集落が存在し、ダム建設によって水没したという歴史的事実も映画に反映されています。映画の中で描かれる閉鎖的で外界から隔絶された村の雰囲気は、都市伝説で語られる「犬鳴村伝説」のイメージを映像化したものといえます。

脚色の部分

映画の物語はほぼ全てが創作です。臨床心理士の森田奏が心霊スポットの謎に迫るというストーリー、村に伝わる呪い、「犬女」と呼ばれる存在、登場人物の家族の秘密など、映画の核となる要素は清水崇監督のオリジナルです。

実際の犬鳴谷村は普通の山間集落であり、映画で描かれるような超常的な恐怖とは無縁でした。清水監督自身も「イメージを膨らませて映画オリジナルの世界にした」と語っており、実在の場所はあくまで着想の出発点にすぎません。

主人公の森田奏(三吉彩花)をはじめ、坂東龍汰や高嶋政伸が演じる登場人物はすべて映画のために創作されたキャラクターです。映画に登場する「犬女」や村に伝わる呪いの設定も、都市伝説には存在しない映画独自の創作要素です。

実話の結末と実在の場所のその後

元ネタとなった旧犬鳴トンネルと犬鳴谷村のあった場所は、現在も福岡県に存在しています。

旧犬鳴トンネルは現在、両側の坑口がコンクリートブロックで完全に封鎖されています。立入禁止の措置が取られており、内部に入ることはできません。福岡県と宮若市は映画公開後にトンネル周辺への不法侵入が増加したことを受け、注意喚起を行っています。

犬鳴谷村があった場所には、1994年に犬鳴ダムが完成し、集落はダム湖の底に沈みました。1970年からダム建設が進められ、住民は移転を余儀なくされました。現在、村の痕跡はほぼ残っていません。犬鳴ダムは周辺地域への水資源供給施設として機能しており、ダム周辺は静かな山間の風景が広がっています。

宮若市は映画公開に際して公式サイトで注意喚起の声明を出しました。映画はフィクションであること、旧犬鳴トンネルへの不法侵入は犯罪であることを明確に伝えています。都市伝説が映画化されたことで地元への影響が懸念されましたが、一方で観光資源としての注目も集まりました。

映画『犬鳴村』は2020年2月7日に公開され、興行収入13.7億円・動員100万人超のヒットを記録しました。その後、清水崇監督による「恐怖の村シリーズ」として『樹海村』(2021年)、『忌怪島』(2023年)が制作されています。

なぜ「実話」と言われるのか

実在の心霊スポットを題材にしていることが、「実話に基づく映画」と受け取られる最大の要因です。

第一に、旧犬鳴トンネルは映画公開前から「日本最凶の心霊スポット」として広く知られていました。実在する場所の名前がそのまま映画タイトルになっているため、映画の内容も実話だと誤解されやすい構造になっています。

第二に、「犬鳴村伝説」自体が2000年代からインターネット掲示板やまとめサイトを通じて長年語り継がれてきた都市伝説です。映画を観る前から「犬鳴村は実在する」と信じている人が少なくなく、映画がその信念を補強する形になっています。

第三に、犬鳴谷村が実際に存在し、ダム建設で水没したという歴史的事実が、伝説に一定のリアリティを与えています。「本当に村があった」という事実と「法律が通用しない恐怖の村だった」という虚構が混同されやすいのです。

第四に、映画が興行収入13.7億円の大ヒットを記録したことで、作品を視聴した人がSNSで元ネタを調べ、「実話なのでは」という投稿がさらに拡散するという循環が生まれています。

しかし犬鳴村伝説の大部分は事実無根の創作です。Wikipediaの「犬鳴村伝説」の項目でも、地名以外の設定はほぼ全て架空であり、津山三十人殺しをもとに創作された杉沢村伝説の焼き直しである可能性が指摘されています。映画はあくまでこの都市伝説を題材にしたフィクション作品です。

この作品を見るには【配信情報】

映画『犬鳴村』は複数の動画配信サービスで視聴可能です。

『犬鳴村』の配信状況(2026年4月確認)

  • Amazon Prime Video:レンタル・購入
  • U-NEXT:見放題配信中
  • DMM TV:配信あり
  • Netflix:配信あり

※配信状況は変動します。最新情報は各サービス公式サイトでご確認ください。

元ネタをもっと知りたい人へ【関連書籍】

犬鳴村伝説や旧犬鳴トンネルについて詳しく知りたい方には、以下の書籍があります。

  • 『実話怪談 犬鳴村』(吉田悠軌ほか/竹書房文庫)― 犬鳴峠の現地取材ルポと、旧犬鳴トンネル・犬鳴ダム周辺で実際に体験された怪奇現象を収録した実話怪談集。映画公開に合わせて出版されました。
  • 『犬鳴村 【小説版】』(竹書房文庫)― 映画のノベライズ版。臨床心理士・森田奏の視点から物語が描かれています。

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